子供によくある骨折!骨端線損傷を見逃してはいけない理由とは?
「大人の骨」と「子供の骨」は形も強さも違うこと、知っていましたか?
今日は子供の骨に関する大切なお話し。
決して見逃してはいけない、子供の骨折「骨端線損傷」について解説します。
大人と子供の骨、見逃してはいけない大きな違い「骨端線」
「大人の骨」と「子供の骨」、その大きな違いを1つ挙げるとすれば、骨端線という軟骨の層があるかないか。
そして、この「骨端線」という名の軟骨層は、骨の成長に大きく関わる、重要な組織なのです。
ここを痛めているかどうかの判定は骨折を治す上で一番大切!
私達、「ほねつぎ」を含め整形外科医は、子供の骨折を診る際に必ずこの骨端線に損傷があるか否かに注目して診察を進めるのです。
そのくらい大切な組織なんですね。
それでは、骨端線とは具体的にどの様な組織なのか? なぜ損傷すると後遺症を残してしまうのか?
そんなことから話を進めていきましょう!
成長期の子供にだけ見られる骨端線(骨端軟骨)とは?
今回は子供が転んだ時に痛める手首の骨、橈骨(とうこつ)という骨を例に出して説明しましょう。
まずは、下図をご覧ください。
上図、左側が大人の骨の解剖図になります。
何やら沢山の骨で構成されていますよね。
その中で今回注目して欲しいところは赤矢印のついている部分の骨です。
この骨を解剖学的用語で橈骨(とうこつ)というのですが、この骨は手をついた際に最も衝撃を受けやすいところであり、転んで手をつくと大抵この骨を痛めます。
それは、大人でも子供でも変わらないのですが、子供の骨は骨端線という骨の成長に欠かすことのできない軟骨の層(骨端軟骨)があるため、その軟骨部分を痛めてしまうことが多いのです。
この軟骨層は周りの骨組織と比べて非常に柔らかいため、強い衝撃を受けると、この部分から破壊されてしまいます。
右下の図は分かりやすいように成長期の子供の骨を青と白で色分けしています。ちょうど青と白の境目のすき間の部分に骨端軟骨という軟骨層が存在するのです。(レントゲンで子供の骨を撮影するとこんな感じに映ります)
ちなみに、高校生くらいになると、この骨端軟骨という組織は骨に置き換わって、成長が止まります。
つまり、この骨端軟骨が存在しているかどうかで、身長が伸びるか否かが判定できるのです。
お医者さんがレントゲン撮った折に「まだまだ身長伸びるよ!」なんて言うのは、この部分を見て言っているんですね。
・・・っと、少し話がそれてきたので本題に戻しますね。
骨の成長プロセス:骨端軟骨から骨組織へ
さて、それではこの骨端軟骨を拡大してみましょう!
骨端軟骨を拡大したのが上図になります。
上から下へと軟骨細胞が徐々に骨細胞へと成熟しています。
そう、骨端軟骨層を拡大するとこの様に、細胞が縦に並んでだんだんと硬い骨へと成熟しているのです。
そして、横どうしの細胞の連絡もしており、全体が揃って成熟したしているのです。
(各々勝手に成熟していったら骨の成長がバラバラになり、全体として真っ直ぐ伸びていかないという困った事態にならないためです。)
では、この軟骨層の部分を傷つけ、縦に成熟している細胞の列が乱れてしまうと、軟骨細胞はどうなってしまうのでしょう?
骨端軟骨損傷の程度と成長への影響
この軟骨層の縦に並んだ細胞達は、横の細胞達と息を合わせて共に成熟していっている。というところまでお話ししましたね。
では、この軟骨層が斜めに裂けて、少しズレたらどうなるでしょう?
ズレると当然、未発達な軟骨細胞は、成熟した細胞達と触れ合うことになります。
そうなると、未発達な軟骨細胞は成熟した細胞の影響をうけて急速に成熟してしまうんです。
つまり、軟骨細胞はすぐに骨組織へと転換してしまいます。
早期に軟骨細胞が成熟してしまう結果、骨の成長が止まってしまうことになるのです。
すると、後に関節の変形など様々な障害を抱えることとなるのです。
とはいっても、世の中そんなに後遺症を残している子はいないじゃない!って思いますよね。
おっしゃる通りです。
実は骨端軟骨にはもう一つ特徴的な性質があるのです。
それは、骨端軟骨の「軟骨肥大層」という脆弱な層があり、多くの場合その層が壊れるように出来ているんですね。
つまり、骨端線と平行に壊れれば、未発達の軟骨細胞は成熟した細胞と触れ合うことがないため、早期成熟は起きにくく、骨の成長に影響を及ぼしにくいのです。
人間ってよく出来ていますよね~。
ってなことで、骨端線を傷めても損傷がごく軽度であれば、成長障害は起きないことがほとんどです。
しかし、損傷が重度であると、成長障害が起きてしまうこともあることは覚えておいて下さい。
症状とエコー検査で骨端軟骨に損傷があるか否かは判定できます
子供が転んで手首を痛がっていたら、骨端軟骨に損傷がないかよく見てもらって下さいね。
多くの場合、予後はよいとされていますが、損傷の形態によっては成長障害をきたす可能性も考えなくてはいけまません。
専門家であれば、症状とエコー検査で骨端軟骨に損傷があるか否かは判定できます。
あなたの大切なお子さんに、もしも・・・が無いよう、「骨端軟骨の損傷」 確認してくださいね!
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