子どもの『肘内障(ちゅうないしょう)』に注意!原因と予防法を解説
子どもが手を動かさなくなった!
子どもが手を痛がって動かさないと診療依頼の電話。
散歩中に手を引っ張ってから手を動かさなくなったとのことですが、その後病院に行ったものの「もう肘は抜けていない」と返されたそうです。しかしながら、帰宅後も肘を動かさない様子を心配したお母さまがインターネットで当院を検索し、連絡してくださいました。
子供がよくなる肘内障(ちゅうないしょう)。
通常は挟まった組織をとってあげれば、すぐに治る(手を使いだす)ものですが、対処方法が悪く組織を痛めてしまうと、治り難くなることもあるのです。ということで、本日は子供によく起きる肘内障について原因と注意点についてご紹介しましょう。
肘が抜けたとは?肘内障の原因は関節内に組織が挟まってしまったため(図解あり)
『子どもの肘が抜ける』と表現される肘内障ですが、実は関節を包んでいる膜が関節内に引き込まれて挟まるだけのものなのです。
子どもはまだ未発達なため関節部の軟骨組織が厚く非常に柔らかくできています。ですから、子供の手を強く引っ張ると下の図のように肘関節部の間が開き、関節を包んでいる組織が関節内に引きこまれてしまいます。
組織が挟まった状態で関節を動かそうとすると、当然痛みを伴いますので子供は痛がって手を使わなくなります。これが子供によく起きる肘内障というものなのです。
ちなみに、手を引っ張って肩が抜けたという方がいらっしゃいますが、十中八九こどもは肘に障害が起きています。
解剖学上も手を引っ張って肩に障害が起きることはごくまれであり(ないとは言い切れませんが)、ほとんどの場合この肘内障になっているのです。
通常はすぐに治る肘内障が、治り難くなることも。。。(エコー画像あり)
今回の症例は、前の病院での処置が悪く、関節周囲の組織を腫らしてしまったためなのか、徒手整復(元に戻すこと)が非常に困難になっておりました。下図は実際のエコー画像ですが、関節周囲の組織が腫れてしまっているのがわかりますか?
これだけ腫れてしまうと、挟まった組織を戻しても肘関節を動かすたびに再度組織が中に入り込んでしまい、いつまで経っても痛みが取れないといった状況になってしまいます。ということで、本症例の女の子は整復処置後に1週間の固定・経過観察を行いました。
固定をすることで腫れた組織がもとに戻り、関節内に挟まらなくなります。実際は5日後には腫れがなくなり固定を除去。受傷より1週間で関節運動時にも痛みはなくなったため治癒となりました。
肘内障の予防法 – 重要なポイントは「肘より上」をつかむこと
肘内障は子供の手を引っ張ったときに起ります。とはいえ、チョロチョロする2,3歳児の手を引かないなんて現実問題難しいでしょ?
ですから、子供の手を引く場合は必ず『肘より上』をつかみましょう。肘より上の腕であれば肘内障にはなりませんし、子供の肩が抜けることはほとんどありません(全くないという証明はできないので、ほとんどと表現)。
とにかく『肘より上』このことだけ注意しておけば、肘内障は防げます。大切なので覚えておいて下さいね。
急なケガをしてしまったらすぐにご連絡ください
ということで、『たかが肘内障とあなどってはいけません!』という症例でした。
肘内障と思っていても実は『骨折』していたり、今回のように組織を腫らしてしまい、元に戻し難くなったりもするのです。ですから、病院に行ったとしても少しおかしいなと感じたら別の医療機関に受診することも大切なことなのです。
大切なわが子が手遅れになる前に最善を尽くす。これも親の責務ですよね。
万が一、あなたやあなたの周りのひとがケガをしてしまったらすぐにご連絡ください。
当院ではあなたが最速で治る方法をご提供いたします!
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