手首の痛みはTFCC損傷? – 原因と検査法、効果的な処置方法を解説
手首を曲げると痛い。
手をついて立ち上がるとズキっと痛む。
そんな、手首の痛みで悩んでいませんか?
今日は、手首の痛み「TFCC」という組織の障害について解説します。
三角線維軟骨複合体(TFCC)とは手首の関節の一部。ここを痛めると・・・
TFCC(Triangular Fibrocartilage Complex)とは手首の関節を構成する組織であり、動きに安定性をもたらす大切な器官です。
よって、一度この組織を痛めると、手首の屈伸や回旋動作に支障をきたし、日常生活にも多大な影響を及ぼすのです。
たとえば、フライパンを使ったり、ドアノブを回したり、窓を拭いたり、雑巾を絞ったり・・・・。
TFCCを痛めると、このような何気ない日常の動きでも痛みを感じるようになるのです。
そして、この組織は修復するのに、すご〜く時間のかかる場所なのです。
TFCCはとくに手首を捻る際に重要な組織(図解あり)
TFCCは手首の動き、とくに手首を捻る際に重要な役割をはたしています。
と言っても、言葉だけではいまいちイメージできませんよね?
それでは、さっそく下図をご覧ください。
TFCCは三角線維軟骨複合体という名の通り、7つの組織で構成されている複合組織です。
①尺骨三角骨靭帯
②尺骨月状骨靭帯
③掌側橈尺靭帯
④背側橈尺靭帯
⑤関節円板
⑥尺側側副靭帯
⑦三角靭帯
・・・まぁ、こんな難しい単語は覚えないでいいのですが、なんとなくイメージできれば十分です。
TFCCの役割は以下の3つです。
①手首を回旋させる際に橈骨と尺骨が離れていかないようにすること。
②手首の衝撃をやわらげること。
③物を握り込みやすくすること。
これらの機能が損なわれると、手首を使う際に痛みが出たり、強く物を握り込めなくなったりします。
だから、日常生活にも痛みを感じるのですね。
TFCCを損傷しているか自分で簡単に確認してみよう
損傷を正確に判定するには、MRIという検査をしなければいけないのですが、「手首を使うと痛い」だけで大がかりな検査というのは少々現実的ではないですよね。ですから、今回は簡単な徒手検査法をお教えしましょう。
検査法1(圧痛)
下図のように、青矢印の方向から押してみます。(手首の小指側の骨のでっぱりよりも指先よりの部分です。)
赤丸あたりに痛みが出たでしょうか?
痛みが出ればTFCCの損傷である可能性があります。
手のひら側が自分から見えるように捻り、下図のように小指側に手首を曲げます。
次に矢印の方向に押し込みます。
手首に痛みが出れば、TFCCの損傷である可能性があります。
左下図のように手首をめいいっぱい反らせて下さい。
(見やすいように写真を撮りましたが、実際はもう一方の手を使って、痛い方の手を反らせてください)
次に、手首を反らせたまま、親指の方向に手首を捻りましょう。
(これももう一方の手で強制して下さい)
手首に痛みが出れば、TFCCの損傷である可能性があります。以上の3つの検査で痛みが誘発されれば、TFCCを傷めている可能性が非常に高いと言えます。
どうですか?痛みはでましたか?
痛みに合わせて、効果的に安静固定できる対処法
TFCCの役割と検査法はなんとなく理解できたでしょうか?
それでは次に、その処置についてお伝えします。
処置を行う上で、大切な2つの選択基準があります。
それは、「一度で痛めたもの」か「徐々に痛みが増してきたもの」なのかによって、大きく処置が変わるということです。
基本的にどんな損傷であれ安静固定がよいのですが、痛みと日常生活を天秤にかけると必ずしも安静を第一にできないケースもあるかと思います。
そのような場合、ある程度の許容を持って治していくことも考えなければいけません。
そこで、下記に固定する基準と期間および、その方法を記載します。
損傷初期の固定
まず、「一度で痛めた」という事実があれば組織の損傷を考えなければいけません。
そして、損傷した組織を修復させるためには、原則強固な固定が必要となります。
要するに、手首の動きを止めるために装具やギプスで固定をしないといけないということです。
そして、固定期間も長く約4週間~6週間ほど。損傷の程度にもよりますが、おおよそこのくらいは必要です。
そんなに期間が長いの?って思いました?
そう、靭帯や軟骨など血管が少ない部分については組織修復がすご~く遅いため、それに応じて固定期間も長くしなければいけません。(軟骨は修復しないと言われていますが、そのことについてはまたの機会に詳しく紹介しますね。)
ちなみに、装具やギプス固定は専門の材料と技術を要するため、ここでは紹介程度にとどめておきましょう。
(詳しく知りたい!という方は直接ご連絡いただければ詳しくお答えいたします。)
テーピング固定
一方、こちらは「徐々に痛くなってきたもの」が対象です。要は、使い過ぎで炎症を起こした場合です。
正確に言えばこれも組織の微細な損傷ですが、組織の強度は保たれているため無理な力さえ加わらなければ、修復していきます。つまり、強固な固定は必要ないということです。
また、日常生活や仕事を考えると、簡便で安価なものでなければ続けられませんよね。
よって、安価で手に入りやすい材料として、テーピングによる固定が現実的といえるでしょう。
実際のテーピング固定はこのような手順で行います。①手首よりも上から貼り始めます。
ここでテーピングテープは一周分ずつ切って貼るのがポイントです。
続けて貼るとシワになりますし、きつくなってしまうからです。
手首より上は傾斜があるため、貼る方向は青線の角度にするときれいに貼れますよ。
②半分重ねて同じように貼ります。
この時、青線のように角度を変えて貼ってください。
③またまた半分重ねて同じように貼っていけば、出来上がりです。
今回は便宜上、直接テープを貼りましたが、本来はアンダーラップなどを巻いて皮膚を保護した方がいいでしょう。
ポイントは、貼る角度と手首より上から始めること。
これで、手首の動きが制限されて痛みが出なければOKです。
是非試してみて下さい。
ちなみに、アンダーラップやテーピングテープは薬局に売ってますので簡単に手に入ります。
テープは伸縮しないタイプの物を使ってくださいね。
安静固定が損傷組織をより早く確実に治す唯一の方法
日々の診療の中で、TFCCを傷めて来院される方は多いのですが、使い過ぎで痛めたケースは経過がよくないのが現状です。なぜかというと、激痛ではないため、本人が安静をとらないことが多いからです。当然、動かし続ければ炎症は治まりません。
一方、一度で痛めたケースは痛みも強いため、固定を受け入れてもらえ、経過は良好なことが多いのです。
なんだかんだ言っても、がっちり固定することが損傷した組織をより早く確実に治す唯一の方法なのですね。
その場の安易な考えだけで、いたずらに治療期間を伸ばさないように注意して下さい。
痛みが出たら安静にする。この基本忘れないでくださいね。
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