長く歩けない高齢者の腰痛!脊柱管狭窄症について(1)
「歩くとすぐに足が痛だるくなって、休まないと長く歩けないのよね〜」
「最近腰が痛くて、足が少し痺れるの」
「このまま歩けなくなったらどうしようかしら・・・」
こんな悩みを抱えている人は、ぜひ、最後までお読み下さい。
その症状「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」かもしれませんよ。
高齢者によくある腰痛「脊柱管狭窄症」についての基礎知識
高齢者に特徴的な足腰の悩み。
第1回目は、高齢者によくある腰痛「脊柱管狭窄症」についての基礎知識。
なぜ、そのような症状が起きるのか?
まずは原因を把握する事から始めましょう!
脊柱管狭窄症とは、「脊柱管内」が「狭窄」することで起きる「神経障害」
脊柱管狭窄症とは、「脊柱管」が「狭窄」することで起きる「神経障害」のことです。
「脊柱管、狭窄、神経障害?・・・」
いきなり難しい単語を出してしまいましたね。
でも、この3つの単語の意味を理解することで、あなたの腰痛の原因がわかるのです。
そして、原因が分かれば対処法だってたてられます。
もし、脊柱管狭窄症なのであれば、この記事はきっとあなたの助けになる事でしょう!
上図は、背骨(脊椎)の模型です。
ご覧の通り、我々の背骨にはたくさんの神経あります。
それでは、この模型を縦にスライスしてみましょう。
上の図は、高齢者の背骨の中身です。
我々の背骨の中には脊髄神経と言って、脳から続く太~い神経が通っているのです。
そして、その太い神経が通っている場所を脊柱管と呼びます。
脊柱管の中には多くの組織が詰まっていて、どれも大切な役割を担っています。
しかし、年齢と共にこれらの組織は肥厚したり、硬くなったりと変性を始めるんです。
これを医学的用語で言うと、「退行性変性」と呼びます。
脊柱管狭窄症とはこれら変性した組織により、脊髄神経や脊髄神経から分岐する神経根を圧迫し、発症する疾患なのです。
・・・ちょっと分かりにくかったですね。
要するに、脊柱管の中で大事な神経を圧迫してしまい、本来持っている神経の機能が失われる疾患ということです。
ですから、これら神経を圧迫する原因をいかに解消して行くかが、脊柱管狭窄症を治すカギになります。
とはいっても、変性した組織を元に戻すことはできません。
だから、あなたが今どのような状態なのかを、正確に知ることが必要になってくるのです。
例えば、脊柱管狭窄症の中にも椎間板変性にともなう「すべり症」があります。
単純に組織が肥厚しただけのものと、すべり症ではその対処方法も違います。
・・・・あぁ、すいません。
・・・っね!
見るからに、さっきの図とやる事を変えなければダメそうでしょ?
というわけで、症状から推測される原因について、考えて行きたいと思います。
「疲労感」で歩けない場合(馬尾型)と「痛み」で歩けない場合(神経根型)の違い
一口に長く歩けないとはいっても、「疲労感」が主訴のものと「痛み」が主訴のものとがあります。
また、2つの症状が同時に現れることもあります。
しかし、この2つの症状は圧迫を受けている場所が違い、その経過も変わってくるのです。
「疲労感」が主訴の場合
だるさといった疲労感が主訴の場合は、主に脊髄神経から伸びる馬尾神経を圧迫していることが考えられます。
原因は様々ですが、主に脊髄神経の周囲の組織(黄色靭帯、後縦靭帯など)が肥厚して圧迫している可能性が考えられます。
馬尾神経は圧迫されても、あまり痛みを感じないのですが、経過があまり良くないのが特徴的です。
「痛み」が主訴の場合
痛みが主訴の場合は、脊髄神経から分岐する神経根を圧迫していることが考えられます。
この神経根には痛み刺激を受け渡すため、神経節(DRG)という組織があるのですが、ここを圧迫すると強い痛みを感じます。
原因はヘルニアやすべり症など様々ですが、強い痛みが出ているのであれば、神経根を圧迫している事が考えられます。
しかしながら、神経の興奮(炎症)さえ抑えるようにすれば、経過は決して悪くはありません。
間欠性跛行(かんけつせいはこう)は脊柱管狭窄症に特徴的な症状
間欠性跛行とは「少し歩くと痛みやだるさで立ち止まってしまい、椅子などに腰をかけて少し休むと、またすぐに歩けるようになる」といった、間欠的な歩き方をする症状のことです。
この間欠性跛行は脊柱管狭窄症に特徴的な症状であり、年齢と歩き方を聞くだけでおおよその診断が出来るほど、代表的な症状です。
この間欠性跛行は主に神経の阻血状態が原因と言われていますが、下肢の疾患である「閉塞性動脈硬化症」にもこのような症状がみられます。
脊柱管狭窄による間欠性跛行のメカニズムをお話しする前に、少し「閉塞性動脈硬化症」について触れておくことにしましょう。
脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症の違い
脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症はともに高齢者に多く、間欠性跛行を示し、下腿部痛を訴える事から誤診しやすい疾患でもあります。
しかし、閉塞性動脈硬化症は深部静脈血栓症(エコノミー症候群)と同じく、血管内に血栓ができやすく、その血栓が肺や心臓に流れ飛ぶと死につながる重要な疾患です。
よって、この閉塞性動脈硬化症と脊柱管狭窄症を鑑別するための、閉塞性動脈硬化症に特徴的な所見をお伝えします。
閉塞性動脈硬化症
①長く歩く、また足関節を多く使うと足先が蒼白となり、冷たくなる(下肢の阻血状態)
②ふくらはぎを掴むと強く痛む
③血圧が異常に高い
①~③はどれも閉塞性動脈硬化症を疑う所見です。
なぜなら、脊柱管狭窄症では神経の阻血により間欠性の跛行が出るのであって、足先が蒼白になるようなことはないからです。
また、脊柱管狭窄症は神経痛のため、下腿部を触っても痛いということもありません。
最後に血圧ですが、残念ながら脊柱管狭窄症でも年齢的に血圧は高い人が多くいます。しかし、異常な値であったり、ABI値という上肢と下肢の血圧差を測る計測方法で異常が見つかれば、閉塞性動脈硬化症の疑いは高くなります。
もし、これらの症状が出ているのであれば、すぐに血管外科へ受診しましょう!
命に係わる大切なことなので、先にお知らせしておきますね。
脊柱管狭窄症の症状の原因は神経の血行不全(阻血状態)
ところで、先ほど話しました「脊柱管狭窄症は神経の阻血により・・・」という言葉からもわかるように、脊柱管狭窄症の症状の原因は神経の血行不全(阻血状態)にあります。
つまり、間欠性跛行は神経の阻血により出ている症状の一つということなんです。
ではなぜ、歩行で神経の阻血が起きるのかについて・・・・
すこし長くなりそうですので、この続きは次回にしたいと思います。
次回は神経の阻血とその対処法についてです。
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