ふくらはぎの肉ばなれ、癖にならないために必要なこと(2)
前回の続きです。
さて、今回は肉ばなれを起こした時、どうしたらよいのか?
具体的な判断とその処置について、解説したいと思います。
それではまず、肉ばなれかどうか見分けるポイントについてお話して行きましょう!
肉ばなれを見分ける方法
筋肉痛(筋炎)と肉ばなれは非常に症状が似ているため、誤診しやすいものです。
しかし、筋肉痛だと思って肉ばなれを放置していると、水腫が溜まったり、再発したりと予後が非常に悪くなってしまいます。(これは前回お話ししましたね・・・)
だから、肉ばなれを起こしているかどうかを見分けることは、正しい処置を行う上でとても大切なことなんです。
それでは、肉ばなれかどうか見分けるポイントについてです。
ポイントは以下の3つ!
これをチェックしてみて下さいね。
1)はっきりとした受傷機転があるか
肉ばなれを起こすと、ほとんどの場合、痛めた瞬間のことを覚えています。
それは、「ピキッ」だったり「ドン」という衝撃だったり表現は様々ですが、おおよそ痛みと共に衝撃を感じることが多いようです。
もちろん損傷の程度によっても違いますが、痛めた瞬間を覚えているようなら、どこかの組織が壊れたと思ってください。
ふくらはぎに痛みを感じたのであれば、まずは「腓腹筋」の肉ばなれを疑いましょう!
これと反対に、筋肉痛や筋炎はオーバーワークによる筋疲労が主な原因ですから、痛めた瞬間というものはありません。
はっきりとした受傷機転がなく、運動後(数時間後)に痛みを強く感じたのであれば、筋肉痛や筋炎の可能性が高いといえます。
2)運動痛とストレッチ痛
①運動痛
特に足首の動きによるふくらはぎの痛みは、たとえ筋炎であろうが、肉ばなれであろうが痛みを感じるものです。
しかし、動かした時に筋肉のある一点が痛いか、全体が痛むか、によって疑うべき疾患は違います。
肉ばなれを起こしているのであれば、一点が痛むということを覚えておいて下さい。
②ストレッチ痛
これも、肉ばなれの特徴的な徴候です。
筋肉を伸ばした時に一点に痛みを感じるのであれば、肉ばなれの可能性はさらに高くなります。
また、筋炎や筋肉痛でも伸ばされれば痛みを感じますが、筋肉を伸ばした時痛みで、もうこれ以上は無理という限界点がなく、一様に伸ばされると痛むのが特徴です。
肉ばなれは、ある一定の位置から先は痛みで伸ばせなくなります。
この辺りをよ~く観察すると、診断に迷うことは少なくなりますよ。
ちなみに、どのように検査するのかというと、腓腹筋の肉ばなれでは下図のような検査を行います。
3)圧痛が局在しているか
先ほどもお伝えしたように、肉ばなれでは痛むポイントが限局しています。
つまり、ちぎれた線維の部分だけ、際だって痛むのです。
腓腹筋の切れるポイントは下図の赤丸の部分が最も多い場所です。
逆に指で押した時、筋束(筋肉の全長)がみな一様に痛いのであれば、筋炎か筋肉痛であることが多いのです。
もし、筋炎や筋肉痛であれば早ければ3日、おおかた5日くらい安静にしておけば大丈夫です。
そんなに長期にはかかりませんので、疲労を取りさえすれば自然と痛みが引いてくるでしょう。
ストレッチで肉ばなれの重症度を見てみよう!
さて次に、肉ばなれの程度なのですが、これには先ほど使ったストレッチ痛を診ながら判断します。
もちろん、エコー検査が出来ればよいのですが、そんなに身近にあるものではないですよね。
ですから、誰にでもできる方法をお伝えしようと思います。
ストレッチ痛の有無
ふくらはぎに肉ばなれが起きているか判断するには、ストレッチした際の痛みの有無が大きな判断材料になります。
しかしながら、正確に行うには上図の②のような膝が曲がった状態ではいけません。
なぜなら、最も肉ばなれの起こりやすい「腓腹筋」は、膝がまっすぐ伸びた状態でないと正確には判断できないからです。
よって、腓腹筋の肉ばなれを確かめるには、膝を伸ばした状態で足首を起こしあげるようにストレッチしてみましょう!
さて次に、肉ばなれの重症度についてですが、おおよそ3段階に分けて考えるのが一般的です。
重症度はⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と進むにあたり、より重症度が増すと考えて下さい。
Ⅰ度(主に血管や微細な筋繊維の損傷)
筋繊維実質はほとんど損傷していないものの、周囲の血管などの微細な損傷があり、痛みを感じます。
この場合、ストレッチ痛は無いか軽度にあり、運動痛や圧痛もごくわずかな事が多いでしょう。
Ⅱ度(筋繊維実質の損傷)
筋繊維の一部に破綻がみられ、損傷周囲に出血および筋肉の動きに制限もみられます。
歩行痛も顕著であり、痛みによってつま先立ちが不能なことも多いです。
ストレッチ痛も顕著であるため、Ⅱ度以上を疑うにはストレッチ痛の有無で判断する事も出来ます。
Ⅲ度(筋の完全断裂)
筋組織の完全な断裂で、交通事故などの大きな外力が働かないと、そうそう起きません。
筋実質が完全に切れているため、足関節の運動は不能となります。
ここで大切なのは、Ⅰ度かⅡ度かを判断するには、ストレッチ痛を診る事が大切ということです。
重症度によってその処置が大きく異なる!
処置も損傷程度によって異なりますが、Ⅰ度かⅡ度以上かでその処置が大きく異なります。
Ⅰ度損傷(包帯による圧迫固定)
Ⅰ度損傷は主に血管の損傷であるため、患部を圧迫しておけばOKです。
包帯やサポーターなどでふくらはぎ全体を圧迫しておきましょう。
もちろん運動などせず、安静にすることが前提ですよ!
Ⅱ度損傷以上(ギプスなどによる足首の完全な固定)
Ⅱ度損傷以上では筋繊維実質が破綻しているため、足首の動きによるストレスを取り除かねばなりません。
だから、足首の完全な固定が必要になるのです。
これを実現させるためには、ギプスによる固定が最も効果的です。
サポーターや包帯などでは、少なからずゆるみが出てしまい足首が動いてしまいます。
すると、ふくらはぎの筋肉は絶えず伸ばされることとなり、いつまでたっても切れた線維が元に修復しないのです。
例えば・・・皮膚の切り傷。
常に傷口を開くように力を加えていたら、なかなか傷口は塞がらないですよね?
それと同じことです。
重症度によって運動復帰までの期間も異なる
さて、気になる治るまでの期間ですが、スポーツ復帰までにはおおよそ下記の期間がかかります。
Ⅰ度 10日程度
Ⅱ度 6週間程度
Ⅲ度 3ヵ月以上
え~っ!そんなにかかるの?
って思いましたか?
そうなんです。スポーツ復帰までにはこのくらいかかるんです。
当然、人によっても治る期間は異なりますが、そんなに大きくは外れませんのであしからず・・・
もちろん、適切な処置を行った上での話しですからね。
運動開始の時期は「ストレッチ痛の消失」が目安
運動開始の時期って気になりますよね?
この運動開始の時期は「ストレッチ痛の消失」が運動開始の目安と考えて下さい。
ですから、ストレッチしてまだ痛いのであれば期間に問わず、運動を開始すべきではありません。
これを間違えると、前回お話しした「水腫」が出来てしまうので、運動開始時期は慎重に行いましょう。
もし、わからないようであれば、下記の連絡先からご連絡くださいね。
悪化させるその前に、あなたのお力になれる事がきっとあるはずです。
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