子供の肘の脱臼を治す方法 ~肘内障の整復法~
専門家が行っている肘内障の整復法
今回は、子供の肘によく起きる肘内障の治し方について解説します。
子供の肘が外れやすいとお困りのママさん。
我々専門家はこんな風に子供の肘を治しているんですよ。
これから臨床に出るという、柔道整復師の皆さんにも参考になる内容です!
今回なぜ、肘内障の治し方を書こうと思ったのか?
それは、小さな子供を持つママさんに我々の仕事を理解して頂き、いざという時に頼りにして欲しいという思いからです。
ちまたに溢れる接骨院。
残念ながら、知識不足・技術不足のため、慰安行為だけに終始した院が多く存在します。
治療中の患者さんから「接骨院に通ってて大丈夫なの?って周りからよく言われるのよね〜。」
なんて、最近よく耳にするのです。そんなことを聞くたびに、悲しくなります。
でも、残念ながらそれが今の接骨院に対する世間の認識なのですね。身から出た錆・・・。
だからこそ、今回はあえて技術的な事をお伝えします。
一般の方に、この知識が役立つかどうかはわかりません。
安易に教えるべき内容ではないのかもしれません。ただ、何かを発信しなければ、何も変わらない。
そんな思いから、今回は我々が行なっている技術をお伝えしたいのです。
もし、あなたがこの記事を読んで、我々の仕事を理解して頂き、少しでも信用を取り戻せたなら、こんなに嬉しいことはありません。
駆け出しの柔道整復師の皆さんにも役立つ内容ですので、是非最後まで読んで下さいね。
肘内障が起きている場所はどこ?(図解あり)
肘内障がおきるメカニズムについては、前回の記事でお伝えしました。
さてさて、いざ肘内障を治そうとしても、腕橈関節という関節の位置がわからなければ話になりません。
そこで、まずは腕橈関節の位置から説明したいと思います。
下図は肘関節を外側から見た解剖図です。ここで大切なのは上腕骨と橈骨で構成される、腕橈関節。
ここを体表から触れるかどうかが重要です。
実際の子供の肘に解剖図を当てはめてみましょう。
ちょうど、赤丸で示した所に腕橈関節があります。まずはここを触ることから始めましょう。
触り方は、肘の頂点から肘を曲げると出来るシワの方向へ丁寧に触って行くと、骨の出っ張りが触れます。
これが上腕骨下端の骨の膨らみです。ここから指半分くらい、手首の方向にズラすと腕橈関節が触れます。
腕橈関節かどうかを確認するには、手のひらを上に向けたり、下に向けたり回旋させてみてください。
この時、骨がグリグリ動いているのがわかれば、そこが腕橈関節です。
写真で見ると下図の辺りになります。
なぜここを触るのかというと、肘内障を治した時に関節の中で鳴る、「コクッ」という音を感じるためです。
(ちなみに、ズレた骨や曲がった骨を治す事を「整復」といいます。)
この時にする音を「整復音」と言いますが、これが肘内障が治ったかどうかを判断する目安になります。
だから、腕橈関節を触れているかどうかは非常に重要なのですね。
専門家が肘内障を整復するとき、何をしているのか?
整復操作①(過回内)
さて、いよいよ整復操作を説明します。
まず、左の親指で腕橈関節を触れます。この時、親指は強く押さえず、ただ触れておくだけにします。
ここでの左の親指の役目は「整復音」の確認のためだけです。けっして強く押したりしないでくださいね。
次に、右手で下図のように持ち、子供の手を親指側に回していきます。この時、持ち手は必ずこのように持ちます。
手を回すと言っても、手首を捻るのではないので、手首ではなく手首より少し肘側の「腕」を持つことがポイントです。
そして、親指側に回して行く際には、矢印のようにやや手前方向に回します。(決して引っ張るのではなく、あくまでやや手前方向に回すこと。)
そして、ここで最重要ポイント!
それは、親指側に回していって止まった所から、『少しだけさらに強く回す』ということです。
図のように親指側に腕を回すことを「回内」といいますが、回内を強制してはじめて整復されるのです。
ここでしっかりと回内を強制できると、左の親指に「コクッ」という感触が伝わって、挟まった関節包が元に戻ります。
おおよそ8割以上はこの段階で治ります。
ただし・・・
ここで整復音がしたからといって油断してはいけません。
なぜなら、経験上2回音がすることも珍しくはないからです。
たとえ、整復音が感じられても、この後の整復操作②〜④を行うことが大切です。
整復操作②(回内屈曲)
整復操作①の持ち手のまま、肘を曲げて行きます。
この時も、肘が曲がり切った所からさらに少し強く曲げ込みます。
これが整復操作②のポイントです。
ここで整復音が感じられることもあります。
整復操作③(過回外)
次に、肘を少し戻して、手のひらを上に向け、上図のように右手を持ち替えます。
これも整復操作①と同様、矢印方向に(やや手前方向)に回します。これを回外というのですが、ここでも少し回外方向に強制します。
ここで整復音がすることもあります。
整復操作④(回外屈曲)
そのまま、上図のように肘を曲げ、止まった位置から少しだけ曲げ込みます。
ここで整復音がすることもあります。
以上、整復操作①〜④を行うことで、下図のように挟まった関節包が元に戻り、子供は痛がることなく手を使うようになるのです。
肘内障であれば、整復されると子供は「すぐに」手を使いだします
最後に確認しなければいけない、とても重要なこと。
それは、整復されると子供は「すぐに手を使いだす」ということです。
もし、手を使わないのであれば、まだ整復されていないか、あるいは骨折をしているかのどちらかと考えて下さい。
必ず、痛がらずに手を使うことを確認するのが大切です。
子供は他愛もないことで骨折します。判断を間違えて乱暴な整復操作をしてはいけません。
必ず、肘内障であることを確認した上で整復操作に移ることが大切です。
そして何より整復操作は愛護的に行うこと。
出来るだけ、痛みを感じなく素早く的確に治す。
こんな事を日々考えながら、我々は治療しています。
もし、あなたが今、体のことで悩みを抱えているのなら気軽にご連絡下さい。
専門家として、何か一つはあなたのお役に立てると思います。
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