腰痛の原因!腰椎椎間板ヘルニアとは(3)~自然消失~
今回は、椎間板ヘルニアの自然縮小・消失についてのお話しです。
飛び出た髄核が自然に縮小・消失してしまうことを知っていましたか?
腰椎椎間板ヘルニアで手術を考えている方には、是非とも読んで頂きたい内容です。
その痛み、手術しないでも治せるんです。
なぜ、ヘルニア塊が縮小するのか?
それは、椎間板から飛び出た髄核(ずいかく)が体の中で異物として認識されるかどうかにかかっています。
つまり、体内で飛び出た髄核が異物として認識されれば、マクロファージなどの貪食細胞が自然と分解してくれるということなのです。
当然、飛び出た髄核は正常な組織の形態と違うわけですから、炎症反応が起こり、生体にとって余分な部分を細胞が徐々に分解吸収して行きます。
そして、この反応がスムーズに働きさえすれば、ヘルニア塊は自然縮小・消失すると言われているのです。
しかし、この反応が起きるためにはある条件が必要です。その条件とは・・・
ヘルニア塊が縮小・消失する条件は「脱出型」であること
ヘルニア塊が生体内で分解され、自然縮小・消失するための条件とは
「髄核が後縦靭帯を穿破(せんぱ)しているかどうか」にかかっています。
後縦靭帯?穿破?(^_^;)
ちょっとイメージがつきずらいと思いますので、下図をご覧ください。
上図のように、脊柱管にある椎間板の後方には「後縦靭帯(こうじゅうじんたい)」という線維性の靭帯組織がビタッと張り付いています。
この後縦靭帯を椎間板から飛び出た髄核が破ったかどうかによって、飛び出た髄核の分解反応が進むか否かが決まるとされています。
ちなみにこれを判断するためには、MRIという検査装置を使って画像診断しないといけないのですが、このへんの説明は簡単にしたいと思います。
上図のように、髄核の飛び出方によっていくつかのタイプに分類されています。
ここで注目して欲しいのは、飛び出た髄核が「脱出型」であるかどうかということです。
脱出型とは、飛び出た髄核が後縦靭帯を突き破って脱出したものを意味しています。
つまり、脱出型であれば飛び出た髄核は貪食されて自然縮小や消失する可能性が非常に高いということなのです。
MRIで判断するヘルニアの「膨隆型」と「脱出型」
脱出型とは「髄核が後縦靭帯を穿破したもの」というお話しはしましたね。
では、MRI画像で「膨隆型」か「脱出型」かをどのように判断するのかは、下図の特徴で判断しています。
一般的に、脱出型を判断する際には、上図の黄色い三角形の部分の消失およびBlack line(後縦靭帯)が消失しているかどうかで判断しているんですが・・・
ちょっと、この先はマニアックになってしまうので、これ以上深入りするのはやめときます。(^_^;)
へぇ~、こんな所を診ているんだ。
くらいで流しておいて下さい。
脱出型ヘルニアは、そのほとんどが自然消失する
さて、ここからが本題。
日本整形外科学会診療ガイドラインの「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)」では腰椎椎間板ヘルニアの自然経過について以下のようにまとめられています。
腰椎椎間板ヘルニアはどれくらいの割合で自然に退縮するのか?
ある調査では平均4.3ヵ月で脱出型ヘルニアと評価された84例中64例(76%)にヘルニアの退縮あるいは完全消失を認め、膨隆型ヘルニアと評価された22例中18例(82%)では変化がなかったという報告があります。
つまり、「脱出型」では約8割はヘルニアが消失したということです。
そして、以下のように結論づけています。
「腰椎椎間板ヘルニアが自然に退縮する割合およびその時期を明確にした報告はないが、2〜3ヵ月で著明に退縮するヘルニアも少なくない。」
つまり、脱出型ヘルニアについては自然退縮による自然治癒が十分期待できるということなのですね。
腰椎椎間板ヘルニアはどのくらいの期間で自然退縮するのか?
ある調査で、急性発症の腰椎椎間板ヘルニアに対し初診時・6週後・6ヵ月後に造影MRIを行った報告では、遊離脱出型で71%にサイズの減少を認めた。ただし、6週後のMRIでサイズが減少した例はなく、6ヵ月後のMRIではサイズの小さいヘルニアは退縮していなかったとしている。
つまり、「脱出型」では6か月後に約7割のヘルニアに縮小を認めたということです。
そして、様々な論文を評価した「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン 」では以下のように結論づけていました。
「腰椎椎間板ヘルニアが退縮する具体的な時期は明らかではないが、2〜3ヵ月で著明に退縮するヘルニアが少なくないと推定される。」
つまり、脱出型ヘルニアについて言えば、2〜3ヵ月で著明に退縮することになります。
そして、私が調べた範囲でも、おおよそ脱出型では3~6ヵ月で約80%が縮小・消失しているという報告が多く、脱出型ヘルニアに関して言えば、ほとんどが自然消失するとも言えるのではないでしょうか。
腰椎椎間板ヘルニア治療の原則は保存的治療。ただし、馬尾症状は手術を絶対に選択。
それでは、椎間板ヘルニアにおいて手術は必要なのか?
もちろん膀胱・直腸障害などの馬尾神経症状が現れた場合のは生死に直結するため、早急な手術が必要です。
これに関して言えば、どの文献でも同じ意見であり、私も強く同意しています。
しかしながら、ヘルニア手術について「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン 」では以下のように結論付けているのです。
「保存的治療と手術的治療を比較すると、臨床症状に関しては手術的治療のほうが長期的にも良好な成績を示すが、10年後にはその差は減少する。」
「数週間疼痛が持続した症例を対象として、保存的治療を継続してみた群と早期に手術をすすめた群とを比較すると、長期的には差が認められない。」
(保存的治療とは手術をしない治療のこと。電気治療や温熱療法、牽引療法、マッサージなど)
つまり、短期的には手術の経過は良いが、長期的にみると手術をしてもしなくてもあまり予後はかわらない。
ということです。
であるならば、手術におけるリスク、経済的な負担、時間的な負担を考えると手術しないで治した方が良いのではないかと思うのです。
そして何より、ここにある保存的療法とはほとんど無処置の放置が大半を占めており、傷ついた椎間板に対しての固定処置や神経炎に対する治療もされていません。
それでいて、この結果であるのなら、適切な保存的治療を行えば必ず成績は向上するはずなのです。
その証拠に、私が治療にあったっている患者さんの予後は良く、手術を必要とした人は未だ一人もおりません。
よって、私はこう結論づけました。
腰椎椎間板ヘルニア治療の原則は手術を選択せず、保存的治療を行う。(回復まで最低3ヵ月を目安とする)
ただし、馬尾症状は手術を絶対的選択となる。
また、ヘルニアによる痛みに耐えられない人や早期の除痛が必要な人に関しては手術的治療を考慮する。
椎間板ヘルニアで手術を迷っていたら、まずは3ヵ月保存的治療を試してみて
私も椎間板ヘルニアになった時、「手術」という言葉が脳をよぎりました。
なんと言っても、耐え難い坐骨神経痛と将来への不安が一気に押し寄せてきたからです。
そして、手術のメリットとデメリットを調べ、その手の文献も読みあさりました。
一見すると手術は万能のように思えます。しかし、予後を見聞きすると必ずしもそうではなかったのです。
もちろん、担当医の腕によるものもあるでしょう。
でも、椎間板ヘルニアに関して言えば、手術しないでも十分治るのです。
もし、椎間板ヘルニアで手術をするかどうか迷っているのであれば、まずは3ヵ月保存的治療を試してみて下さい。統計的にも経験的にも試す価値は十分にあるからです。
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