長く歩けない高齢者の腰痛!脊柱管狭窄症について(2)

脊柱管狭窄症

前回の続きです。

「脊柱管狭窄症の症状は、神経の阻血状態(血行不全)が原因・・・」というところまでお話ししましたね。

それでは、なぜ、神経の阻血状態が起こるのか?

についてお答えしたいと思います。

長く歩けないとお困りの高齢の腰部では、こんな事が起こっているのです!

 

間欠性跛行が起こるメカニズム

間欠性跛行は、神経が圧迫されることで血行不全を起こし、神経の伝達が正常に働かなくなることで起こる、歩行障害です。

・・・ちょっと、わかりにくいので噛み砕いて説明しますね。

え〜と、・・・

例えば、腕を紐できつく縛って血流を止め、手のひらを開いたり閉じたりグーパー、グーパーしてみて下さい。

すると、数十回後には血行不全のため、手のひらを握ることすらしんどくなってきますよね。

分かりやすく言うと、こんな状態です。

今の例えは筋肉への血流障害が原因なのですが、あくまでイメージということなので・・・

 

神経への血行不全による影響が、なんとなくイメージ出来ましたか?

 

このように、間欠性跛行とは、神経への血流障害によって起きる疲労感に似た歩行障害なのです。

 

では、なぜ歩行してしばらくすると症状が出てくるのでしょう?

だって、そもそも脊柱管内で神経への圧迫があるのなら、歩かなくても症状が出てもおかしくないですものね。

 

その答えは、姿勢による神経への圧迫力の違いにありました。

 

姿勢による硬膜外圧の変化

姿勢によって脊柱管内が圧迫される程度が変わる、という論文が1995年に発表されています。

それをグラフにしたのが、下の図です。

 

上図は姿勢による脊柱管内の圧力の変化を示したものです。

我々の背骨の中に通っている大切な神経(脊髄)は硬膜(こうまく)という丈夫な膜で包まれています。

つまり、脊柱管内での硬膜外の圧力を調べる事は、脊柱管内で神経がどの程度圧迫されているかを意味します。

・・・硬膜外?

以前、神経の周囲に麻酔の注射をする治療として、硬膜外ブロックのお話しをしましたよね。

そう、あの硬膜外です!

(イメージしやすいように、脊柱管内での硬膜外ブロック注射の図をのせておきますね。)

話しを戻しまして・・・

 

上図の表から読み解くと、硬膜外圧が上昇すること、

すなわち、脊髄神経が圧迫を受ける姿勢とは「腰を反らした姿勢」と推察できます。

つまり、脊柱管狭窄症は「腰を反らす」と症状は悪化し、「腰を曲げる」と症状は軽快するというのです。

このことは実際の患者さんの訴えとも一致しています。

例えば、

・腰をまっすぐにする歩行では症状が悪化し、途中で腰を掛けて休むと症状が軽快すること。

・自転車を乗っているときは症状が出ないこと。

・杖をついて歩く方が楽だということ。

などなど・・・。

要するに、腰を曲げた姿勢か、腰を反らした姿勢かによって症状がかわるのです。

それでは、なぜ姿勢の変化(腰の動き)で症状が出たり出なかったりするのでしょうか?

 

腰椎の屈曲と伸展による脊柱管の変化

それでは、姿勢によって脊柱管はどのように変化しているのか?

下の図をご覧ください。

 

 

上図は、腰を反らした時と曲げた時の脊柱管の様子を表しています。

一般的に、脊柱管は腰を曲げた状態と比べ、反らした時では約2cmほど長くなる事が分かっています。

つまり、腰を反らすと脊柱管内にある神経は引き伸ばされ事になるのです。

この事実と間欠性跛行を照らし合わせると、以下のようになります。

 

①加齢により脊柱管内の靭帯及び脂肪層などが肥厚し、脊柱管自体が狭くなっている。

②加えて、椎間板の突出や石灰化、骨棘などで脊柱管内の一部分が狭くなっている(狭窄部位)場所がある。

③歩行や立位の際には必ず腰を伸ばす事が必要になる。

④腰を伸ばす(反らす)ことで、脊柱管内にある神経は引き伸ばされ、もともとある狭窄部位で圧迫を受ける。

⑤圧迫された神経は血行不全を起こし、神経の働きが悪くなる。

⑥腰部から足の先へと出ている神経に障害をきたし、疲労感や痛みと共に下肢の動きが障害される。

⑦立ち止まって、腰を曲げた状態で休みたくなる。(腰部で起きた血行不全を回させるための反応)

 

といった、理由で間欠性跛行が起きているのです。

だから、腰の動きに着目する事が、脊柱管狭窄症の状態を改善させるための第一歩となります。

それでは、実際にどのようにして症状を改善して行くのか?

具体的な方法をお伝えして行きましょう!

 

脊柱管狭窄症「腰を反らした姿勢をとらない」

脊柱管狭窄症では「腰を反らす」という動作が症状を悪化させる、ということまでお伝えしましたね。

つまり、日常生活においても腰を反らす姿勢をとらない事が肝心です。

・歩くよりも、自転車で移動する。
(自転車は腰を曲げた姿勢で乗るため、神経症状が出にくくなります。)

・歩くときは、杖をつくか、押し車を押す。
(杖や押し車は、必然的に前傾姿勢をとることになるからです。)

・炊事でキッチンに立つ時は、たまに腰をかけるなどして長く立ち続けないようにする。
(毎日行う炊事でも、決して無理をしないことです)

この他にも、腰を反らすような動作があれば決して無理はしないように気をつけましょう!

 

脊柱管狭窄症「自分で出来る改善方法」

腰を反らす動作がいけないことは、よくわかった。

しかし、一生このままというのも嫌ですよね。

そこで、自分でもすぐにできる改善方法をお伝えしましょう!

神経根症状(下肢への痛み)に対して

腰痛に加え下肢に痛みが出ているのであれば、神経の炎症を伴うことが考えられます。

そんな方は、下記のような運動療法やストレッチを行うことが良いでしょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神経は筋肉の間を縫うようにして走行しています。

その筋肉がこわばっていると、その筋肉がフックとなり神経を伸張させてしまうため、各部位のストレッチを行うことが大切です。

また、腹筋は日常生活で衰えていくもの。

意識的に腹筋のトレーニングをすることで、腰部の安定化と姿勢の保持が出来ます。

そして、適度な運動は血行を促進するという意味でも、大変有効なのです。

馬尾症状(下肢へのだるさ)に対して

腰椎の動きを出すために以下の2つの運動をお勧めします。

①仰向けになり、両膝を抱える運動
(膝を抱えることにより、腰部が屈曲位となり、圧迫された神経に血流を戻すことが出来ます。)

②仰向けになり、両手をバンザイして伸びをする運動
(腰は反らさず、胸を反らして代償運動できるようにします。)

※この時必ず膝は立てて行ってくださいね。膝を立てないと腰が反ってしまい逆効果になりますので。

 

また、長期の前傾姿勢は股関節を曲げる筋肉(腸腰筋と大腿四頭筋)を短縮させます。

よって、この筋肉もゆっくりストレッチしましょう。

①大腿四頭筋(モモの前にある筋肉)
立った状態で片足を後ろに引き、腰を落としてモモの前の筋肉を伸ばしましょう。

②腸腰筋(腰から股関節付近まで伸びている筋肉)

上図の「腰とお尻のストレッチ」で腸腰筋を安全に伸ばすことが出来ます。

 

さいごに・・・

硬膜外圧と椎間板内圧の比較

ちなみに、椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症とでは「やってはいけない姿勢」が違います。

椎間板ヘルニアとは、椎間板から中身(髄核)が飛び出し、神経を圧迫するものです。

だから、椎間板の内圧が高くならない姿勢をとらなくてはいけません。

一方で、脊柱管狭窄症は姿勢により脊柱管の狭窄が起きないように(硬膜外圧が高くならないように)気を付けないといけないのです。

 

 

わかりましたでしょうか?

つまり、腰痛といえどその範囲も広く、原因が異なれば当然その対処法が異なるということです。

 

以上、脊柱管狭窄症という腰痛についてでした。

参考になりましたでしょうか?

ぜひ試して見て下さいね!

それでは、また。

 

(「あなたの腰痛の原因は?知っておくべき種類とその特徴」について詳しくはこちらから)

 

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